前回のブログが「2025夏まとめ」で、ゲェ、となってしまいました。
ご無沙汰しております。
2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、1月31日、東京でのリサイタルが無事終演しました。
お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました!
前回福岡でオールフランスプログラムをさせていただいたときも、こんなに疲れるコンサートがあるのかとびっくりしたものですが、今回は人生で一番へとへとになる経験でした。
通常、リサイタルというのはメインとなるヘビーなソナタがひとつあり、もう一曲軽めのソナタだったり小品だったりを詰め込んでだいたい90分くらいにするのですが。
私はまだ学生の身で、無名で、次いつリサイタルができるかわかりません。
だから、好きな曲、ずっとやりたかった曲、最近ハマってる曲、など、今このチャンスに全部やらなきゃ!!!と、詰め込みに詰め込んでしまいまして。
先生方にも、「すごいね、ヘビーだね」「たくましいね」「今のうちしかできないプログラムだね」と言われるような、スケートでいう、全部のジャンプを4回転にするみたいな(私はスケートのルールを知らないのでよくわかりませんが)、そんな感じのプログラムになりました。
MCでもお話したのですが、私が人生でいちばん疲れた記憶は、中学のときの持久走。真冬の校庭を半袖短パンで10周したこと。
今回は、それを上回る疲れ具合でした。
正直途中何度か意識が飛びそうになり、私これ生きて最後まで弾けるのかしら、と命の危険を感じるような場面もありました。
音楽家はアスリートだ、とよく言われますが、本当にそうだなと。
それでも、いつもかかりすぎてしまって空回りするギアも、かかりすぎるほどかかっていたのに、絶好調で。
本番というのは一度きりで、私は本当はこんなものじゃないのに、と言い訳をしたくなるときもたくさんあります。
でも、今回の本番は、これが私です!と、胸を張って言えるような、120パーセントの演奏だったのではないかなと思います。
お客さんに対してもそうですし、自分に対しても。
少し話が逸れますが、何事も本気でやればやるほど、それが好きか、と聞かれて、好きです!と確信を持って言えなくなるものだと思います。
というか私はこれを元々自分でやりたくて始めたわけでもなく、ただそこに存在するのが当たり前、という感じ。
別に今も、好きか嫌いかでいえば好きだけど、そこにあるのが当たり前で、それでしか生きていけないし、やらない選択肢がない、というのは昔から変わりません。
あと、私は褒められるのが大好きです。
正直昔から褒められるためにヴァイオリンをやっていたし、褒められるためにいちばん身近で得意な手段がヴァイオリンだったからやっていたと言っても過言ではないです。
いかに少ない練習時間でコスパ良く褒められるか、というような考えもあったのだろうなあと今では思います。
ここ最近、本当に最近、3ヶ月前まではそんな感じでした。
一人暮らしをはじめてからは手を抜いて練習しても誰も咎める人がいないし、本番までにある程度いい形に仕上げればいい。
私は自分で言うのもなんですがそこそこ器用なので、人より少ない練習時間でも「なんかいい感じ」にするのが得意でした。
そんな暮らしが秋頃まで続いていて、というか、この先ずっとこうなんだろうなと、それでいいと思っていました。
昨年11月に、祖父が亡くなりました。
2日前に私の演奏を聴いてくれて、そのあと、突然のお別れでした。
なんだか私、びっくりしてしまって。
祖父が亡くなったこと、というより、人って、本当に永遠じゃないんだ、という驚きでした。
そのときの演奏はまあミスはあれど及第点、という感じだったけれど、最後の演奏だと思えば、後悔だらけでした。
叔母から連絡が来たあのときからずっと、きっと私は死ぬまで後悔し続けるんだろうなと思います。

その日からというもの、私は人が変わったように練習をしはじめました。
よし今日からたくさん練習しよう、と思ったわけじゃなくて、なぜか練習したくてたまらない日が続きました。
私は飽き性なのでそういうのは3日も続かないのですが、今回は、リサイタルの日まで、約2ヶ月半、途切れることなく。
そのおかげか、今までは本番の直前はよしがんばろう、がんばれる、やれる、と自分にかけていた言葉が、ここ最近の本番では大丈夫、がんばってきた、に変わりました。
そして、今回のリサイタル。
大好きな大好きな、星の数ほどあるヴァイオリンソナタの中で一番好きな曲、プロコフィエフのヴァイオリン第2番を演奏しました。
弾いているとき、もうプログラムも最後から2番目だったのでへっとへとで、でもそれでも、頭のなかを幸せが埋めつくしていました。
原動力が「褒めてほしい」の人間なので、普段の演奏は結構お客さんに届ける意識だったり、「私を見て!」が強く、それは音楽家としては大正解、当たり前の事なのですが。
今回プロコフィエフを演奏しているときは、いいことなのかはわかりませんが、お客さんをまったく意識していませんでした。
ただ楽しい、ただ幸せ。胸いっぱいに息を吸いこんで、音が体から出ていくのが楽しくて楽しくて。
これが本来の私なんだな、というか、これが本当の私だといいな、と思いました。
それから、プロコフィエフのあと、プログラムの最後には私の後悔の曲も演奏しました。
天国(極楽っていうんですかね?)にいる祖父相手の、リベンジマッチ。
この曲はその祖父に向けて演奏しようと前々から考えていたのですが、あまりにその前までに疲れすぎてしまっていて、ただ倒れずに最後まで弾き切ることに必死で、心の中で祖父に呼びかけることもできず。
ただまあ、リベンジはできたし、後悔もちょっぴりは晴れたし、母も「届いたねえ」と言ってくれたので、よしとします。

↑これは終演後に写真撮影のために即興でタイスの瞑想曲を弾いているわたくしたち
もう気持ちがいっぱいすぎて、書きたいことを書きたい順に書き殴ってしまって、文がぐちゃぐちゃなのですが。
楽しくて、幸せで、これからは少しだけ自信を持って、ヴァイオリンが好きですって言えるような、そんなリサイタルでした。
食べきれないほどのお菓子と飾りきれないほどのお花をいただいたので、お菓子をむさぼりながら(賞味期限近いので仕方ないですよね)、また次に向けて精進して参ります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
今回のプログラム↓↓↓
バッハ/無伴奏ヴァイオリンパルティータ第1番 ←長い
シューマン/ヴァイオリンソナタ第1番 ←重い
クライスラー/レチタティーヴォとスケルツォ ←超絶技巧
プロコフィエフ/ヴァイオリンソナタ第2番 ←重くて長い
サンサーンス(イザイ)/ワルツカプリス ←超絶技巧
アンコール:バツェヴィチ/コウィサンカ(子守唄)

↑本番終わりで汗だくです。

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